【質問】
昭和22年から同24年に生まれた第一次ベビーブーム世代、いわゆる団塊の世代と呼ばれるすべての人が75歳以上を迎え、人口の6人に1人以上が後期高齢者となる今年。社会保障費の負担増や働き手不足など、様々な社会問題への対策が求められるとともに、時代の変化に伴った社会インフラの整備も喫緊の課題となっております。
その一つが移動手段であります。通勤、通学のみならず、買い物や通院など、日常生活を送る上で最低限の移動は必要となりますし、移動することによる経済効果も期待できます。しかしその一方で、市内には駅やバス停から一定の距離が離れた交通の空白地域や不便地域といった地域があり、こうした地域からの往復には、自力で移動するしかないのですが、これまで当たり前のように自家用車で移動できていた方の中には、高齢者の交通事故を報じる昨今のニュース等から、運転免許証の返納を検討されたり、ご家族に返納した方がよいのではないかといった助言を受けている方も多いと思います。運転免許証を返納した方がよいのではないかと思っていても、いざ返納となると、その後の生活に不安を感じて、返納をためらってしまう方がいることが推察されます。
そうした中、高塚新田地区において地元住民の念願でありましたコミュニティバスの実証運行に向けた予算が令和7年度当初予算に計上されました。
市民の足となるこうした移動手段は特に高齢者にとって貴重であり、市民からの要望も多いと聞き及んでおりますが、本市において実現されるのは今回の高塚新田コースが、令和2年4月から運行を継続している中和倉コースに次いで、いまだ2例目であります。
高塚新田地区のコミュニティバスがいかにして実証運行にまで至ったのか、コミュニティバス導入を希望する他地域にとっても大変参考になるのではないかと存じます。
そこで質問です。(1)運行開始に至る経緯について教えてください。
併せて、(2)現在の進捗状況について改めてお伺いします。
【答弁】
はじめに、質問要旨(1)でございますが、高塚新田地区におけるコミュニティバス導入につきましては、地域住民の強い移動ニーズを背景として、令和4年3月に地域組織が立ち上がり、本格的な検討が開始されました。
現在は、令和7年度中の実証運行開始を予定しておりますが、これまでの過程において、他の地域にとっても参考となると思われる点は、大きく3点あると考えております。
1点目は、運行ルートの検討と集約です。
検討当初は、地域内の多様なニーズを反映した、非常に広範囲なルート案が提示されました。しかし、すべての要望を盛り込むことは現実的には困難であるとの共通認識のもと、地域組織が主体となり、安全性を最優先に、実現可能性、利便性、運行効率などを踏まえ、地域にとって必要な部分には重点を置きつつ、個別の要望には固執せず柔軟に対応するなど、非常にバランスの取れたルート集約が行われたことです。
2点目は、サービス水準に関する現実的な取捨選択です。
特に、使用する車両について当初は、中和倉コースと同様の小型バスを希望されておりましたが、道路幅員の制約により一部ルートで運行が困難と判明すると、地域の意見を確認したうえで、運行ルートを優先し、より小型のワゴン車両への変更を選択するなど柔軟な判断がなされました。
また、運賃についても、低料金よりも運行の持続可能性を重視して設定するなど、当初の希望やイメージと異なるものを含め、地域組織が主体的に現実的な取捨選択の判断がされたことです。
3点目は、地域主体による合意形成の積み重ねです。
初期段階から地域内の理解と協力が得られていたことから、バス停予定地の地権者や沿線地域との調整において、円滑な合意形成につながったことです。
以上のように、高塚新田地区におけるコミュニティバスの導入は、地域住民が積極的に活動し、実現可能性と持続可能性を重視した着実な検討と合意形成の積み重ねにより進められてきたと考えております。
次に質問要旨(2)進捗でございますが、現在は、使用を予定している車両の受注開始を待っている状況でありますが、車両が納車され次第、令和7年度中に実証運行が開始できるよう、地域組織・運行事業者・市が連携しながら、万全の準備を進めているところでございます。
また、地域に親しまれるバスを目指し、地域組織と協議のうえ路線の愛称を「ゆめいろワゴンバス高塚新田コース」と決定するとともに、車両のラッピングデザインを県立松戸高校美術科の生徒の皆様にご協力いただくなど、地域と連携した取り組みも進めております。
【要望】
地域と二人三脚で進められてきた経緯がよく分かりました。こうした取り組みが他地区でも広がることで、コミュティバスの持続性のみならず、地元愛が強く育まれることを期待いたします。
高塚新田地区のコミュニティバスが地域の方々に末永く愛されることを願い、私の一般質問を終わります。ありがとうございました。